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臓器移植法改正問題の盲点
今にわかに、臓器移植法の改正にむけた動きが活発になりつつあります。
焦点は、15歳未満の子供についての法整備です。
先日WHOより、「臓器移植は自国内で・・・」との声明が出されたことがきっかけで、
現行法成立(1997年)から12年を経てやっと、法律改正に乗り出したのです。
(※本来は確か、3年毎に見直すことが決まっていたような・・・?)

争点は、「脳死の適用」 「ドナーの年齢制限」 「提供条件」の3つになっています。
それぞれについて、A案からD案まで国会に提出されました。
4つも案が出て審議されて、過半数を得られる案が制定できるのか?という疑問もありますが・・・

とにかく、もうそろそろ決着をつけて欲しいです。
少なくとも対象年齢が拡大すれば(あるいは制限が完全に撤廃されれば)、今問題となっている小児の移植手術も国内でできる道が開けるわけですしね。


でも、本質的には今回の法改正では、根本的な改善にはなり得ない、と僕個人は考えます。

一つ目は、脳死の定義が依然としてあいまいなままだからです。
脳死判定については、一応の定義ができてます。しかしそれでも、その内容に反対する意見も存在します。
要するに、脳死そのものを我々日本人は受け入れきれていないのです。これは、臓器提供とか年齢制限以前の問題です。

考えてみてください。
ご家族が脳死状態だとします。つねっても何をしても反応しません。でも、人工呼吸器によって呼吸はしています。かろうじて心臓も動いてますから、身体にも温もりがちゃんとあります。
でも、脳死判定医立会いの下で判定がなされて、「この方は脳死です。死んでいる状態です。」と、主治医ではない見ず知らずの判定医から説明されて、 ”ああ、そうですか。じゃあ。” と納得できるでしょうか?
(※結局日本では、『臓器移植の場合にだけ、脳死を人の死として認める』という奇策に出たのです。よって、脳死の定義自体の問題は、先送りされたままです。)


しかし、僕が一番問題だと思うのは、日本人の死生観や宗教観の実際です。
臓器移植の取り組みが上手く行っている諸外国(米国・欧州・台湾・韓国etc)には、しっかりした宗教文化があり、人々は「死に対する考え」や「宗教上の慈愛の精神」などが身についています。
もちろん学校などでも学ぶのでしょうが、なにより文化としてそういう意識が根付いているわけです。
(※もちろんキリスト教などでは、「『脳死を人の死』とすること自体は、生命を人為的に絶つことに等しい」とする論議もあるそうで、それは教義に反するとも言えます。でも、臓器提供自体は『最高のお布施』として、肯定されているわけです。)

宗教は立派な文化です。文化は生活に根付くものです。
だから、脳死の定義や臓器提供についてのごちゃごちゃした法律論などが問題なのではなく、それを行う上での根拠が既に人々の文化の中に存在しているのです。


対して日本人は、無宗教の文化です。特定の宗教を信仰していない人が、大多数ではないでしょうか。
「死」について、あるいは「献身」「慈悲の心」などについて、普段から家庭の中で話し合っているでしょうか?文化として根付いているでしょうか?
僕は恥ずかしながら、そんな実感はないです。看護学校以外では、そんなこと話し合ったこともありませんでした。せいぜい小中高校で習ったのは、『お年寄りには席を譲ろう』程度の話だけです。

もちろん、心の中で「自分が死んだら、(誰かのために)臓器を・・・」と考えている人は、結構いると思います。特に自分の家族のためならば、と。
しかし、ご家族が今(自ら意思表示できないまま)脳死になった場合に、自分が代わりになって臓器提供の『Yes or No』の意思表示をできるでしょうか?
(※僕はそんな大事なことを、死んだ家族の代わりになど決められません。家でそんなこと一緒に考えてこなかったのですから。勝手なことはできません。)

また、ドナー自身が ”必ず” 意思表示をしておかなければならないのは、日本だけです。
臓器提供の条件としては、本人の意思が最優先されることは当然ですが、本人の意思が不明の場合は家族が提供を承諾すれば可能、とするのが一般的です【アメリカ、カナダ、オーストラリアなど】。
ヨーロッパを中心に、「本人が臓器提供を拒否する意思表示をしていなければ、臓器提供が可能」という法律を制定している国もあります。「推定同意」と言います。【スペイン、ベルギー、オーストリアなど】。

【諸外国】国民の理解が得られる土壌がある⇒法律を整備して移植を実施できる
【日本】法整備をして定義づけを試みる⇒理解を得られる土壌が足りない⇒定義づけ自体があいまいになる
(※もちろん、単純な話ではありません。移植先進国のスペインなどでは、移植コーディネーターの教育や遺族へのグリーフケア(死後の悲観へのケア)が徹底されていることも、大きな背景です。)


肝心なのは、その精神を文化にしていくことではないでしょうか?
いくら法律が改正されても、ドナーになろうという考えを持てる人が増えなければ、レシピエントは移植を受けられないのです。
法律施行から12年経ってますが、ドナーカードなどはすっかり形骸化してしまっていることは、誰もがわかっていることです。

さて、おそらく今国会で、何らかの改正臓器移植法が可決されることでしょう。
でも、その後どうなるのでしょう。
つまり、小児への移植の問題が少しづつでも解決されていくのか?移植全体の実施数が増えていくのか?
そこをしっかりと、注目していく必要があると思います。


なお、『世界の移植(臓器移植情報センター)』にリンクを張りました。
※ちなみにイギリスの人口は、日本の約半分の6,000万人です。韓国は、日本の半分弱の4,800万人です。
※腎移植・肝移植の数が各国とも圧倒的に多いのは、生体間移植が可能だからです。よって、脳死の問題と絡めて考えるならば、心臓移植の数で比較するとよいでしょう。
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Re: こんばんは
三毛猫さん、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

僕は元気だった頃(看護学校時代には)ドナーカード持とうかな?と考えたこともありました。
移植に同意するかどうかは、その時々でいろいろ考えが変わってましたけど・・・。
やっぱり授業でこのことに触れたのが、良いきっかけだったと思っています。
少なくとも、何かしらの意思を示そうか、と思えるようになっていたのです。

でも今は、それどころではないですね。所詮はにわかの慈愛精神だったわけです。
やっぱり僕は、慈愛とか献身とかそういう精神は、欧米人の様にはいきません。
ちょっと習ったくらいでは、こういう精神はなかなか育たないように思います。
看護師のくせに・・・、と思う人もいるでしょうけど。でも、カッコつけて理想論を語るような、そんな軽い問題ではないと思うのです。

法整備はこれからどんどん進むでしょうけど、形骸化しないような施策(学校教育や講習会、啓蒙活動)のほうこそ、もっと先にすべきではないか、と・・・。

今移植を待っている人にとって、今後の根本的な解決につながってくれたら、それが何よりですが・・・。
Re: プロセス
ガーネットさん、いつもコメントいただき、ありがとうございます。
BLOG記事読ませていただきました。
ちょうど僕ががんを発症して入院していた頃のTV放送だったようですね。
観てみたかったなぁ、と思います。

医療技術はどんどん進歩していってます。それによって、生命のボーダーラインもどんどん変化していってます。
今に人間の倫理観で制御できない領域に行ってしまうのでは?と危惧して止みません。
なにせ、日本人にとってはすでに、脳死の定義でもめているのですから・・・。

確かに小児の移植問題は、何かしらの打開策を講じる必要性がありますが・・・
これ以上は差し控えます。
こんばんは
移植で助かる命があるのはわかりますが…家族だったら?簡単には答えがだせませんよね。自分だったら?乳がんにならなかったら…どうしただろう…やっぱり簡単には答えがでません(^^;
プロセス
日本人は宗教心が無い事等、子供の頃から育った環境で、なかなか脳死を受入れられないというのはよく言われていますね。

ボランティア精神もそうですしね。
長い歴史があって培われるものってありますね。

臓器移植の現場は、思いの外細やかなプロセスを経ており、たくさんの人が関わっています。

1年程前に私が書いた記事です。
良かったられんたろうさんも読んで見て下さい。
これはそんな長い記事じゃないですから。(*^_^*)

『臓器移植と救命の両立』とはという記事です。http://aerochan.blog33.fc2.com/blog-entry-120.html
お暇ならずっと眺めていて下さい
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ナースれんたろう

Author:ナースれんたろう
みなさんはじめまして。
大学卒業後サラリーマンをしていましたが心機一転、
病院で働きながら看護学校に通って正看護師の資格を取りました。
それから数年後、仕事も順調に行っていた矢先の2008年2月末…
僕の人生にとって、とても大きな出来事が起こったのです。

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